数ヶ月前より、漂うように心にあった『何か』のようなもの。
予防接種や採血の後で貼ってもらった絆創膏のように、『あぁ、まだ貼ったままだった。』と後に気付くような。
確実にこの身に存在して、傷を保護してくれているのに忘れられている。
注射針が抜かれ去った後に貼られ、その時は圧倒的な存在感をはなっているにも拘らず忘れ去られる。
痛みが消えるとともに。
これは絆創膏が皮膚に高度に同化しているのか、皮膚はもとより身体が鈍化しているのか。
そう、『何か』を意識することが無かった。
いや、存在すら分からなかった。
漂うように心にあった『何か』は同化と鈍化の培養液の機能不全と分離から染み出たもののように感じる。
同化と鈍化の分離。
同化培養の終焉。
鈍化培養の終焉。
そして心に染み出た『何か』は『疑問』だと気づいた。